🖼️ Qwen-Image-3.0 — 4.5kトークンの長文プロンプトで新聞まで作画する怪物、ただし重みは公開されなかった
Alibabaが画像生成のQwen-Image-3.0を発表しHN 565ポイント。プロンプト上限4.5kトークン・10px文字の可読レンダリングが売りだが、20B・Apache 2.0だった初代からクローズドへ転換。グラフ生成の破綻検証とメタタグ珍事件まで、実測ベースで現在地を読む。
3.7kトークンのプロンプトから、3×3のインフォグラフィックを一発で作画する——Qwen-Image-3.0の公式デモはそういう次元の話をしている。プロンプト上限は4.5kトークンで前世代の約4.5倍。新聞紙面、絵コンテ、LaTeX数式入りの試験問題。「画像生成」というより「文書の作画」に近い領域を攻めてきた。7月21日の発表で、HNは565ポイント・213コメント。
売り文句は「Rich Content, Authentic Details, Deep Knowledge」。10pxの極小文字も可読、日本語を含む12言語ネイティブ対応、20超のフォント。ただし数値は全部自社申告で、パラメータ数もアーキテクチャも非公開だ。現状はchat.qwen.aiで無料で触れる。
一番の論点は性能ではなくライセンス
HNスレッドで最初に伸びたコメントは、性能評でも作例でもなくこれだった。「重みをいつ出すのか、一言もないんだが?」
そう、Qwen-Image-3.0はクローズドだ。初代Qwen-Imageは20BのMMDiTをApache 2.0で公開し、ローカル画像生成界隈の定番になった。それが2.0で重み非公開になり、3.0もそのまま。スレッドでは「Cursor/Azure/Amazonに儲けさせるだけなら、そりゃ出さないよな」という擁護と、「オープンのQwenはもう戻ってこないのか」という落胆が同居していた。
Kimi K3の記事で「中国勢がオープンの最前線」と書いたばかりだが、その内訳は動いている。LLMのQwenはオープンを続けつつ、画像モデルは収益源としてクローズドへ。オープンウェイトは思想ではなく事業判断で、事業判断は製品ラインごとに違う——当たり前のことが、同じブランドの中で可視化された格好だ。
「賢い作画」の限界を測った人たち
検証系のコメントが良い仕事をしていた。「ポーランドのGDPグラフがsloppyだ」という批判に対して、別のユーザーが数値データ入りのプロンプトで測り直す。結果、表のテキストは一字一句正確に再現し、見出しまで気を利かせて生成したのに、グラフは軸とデータ点がまるで整合しない(検証画像も公開されている)。文字は写せるが、数値の空間写像はできない。この境界線は覚えておく価値がある。グラフが要るならデータをグラフライブラリに渡せばいい話で、画像生成モデルにGDPを覚えさせる必要はない。
日本語はどうか。GIGAZINEが実測していて、ゲームUIや老人の肌の質感は高評価の一方、日本語ブログ記事の生成は「そろてとろりっとしった」と崩壊した。韓国語も「表示はされるがタイポだらけ」という報告がある。10px可読の看板は、漢字圏の文字密度の前ではまだ看板だ。
おまけに珍事件もあった。公式サイトのHTMLのmeta keywordsに、NSFWワードを含む謎の検索語が100件以上詰まっていたのが発見されたのだ。SEOツールが「qwen」を含む検索候補(gwenやben 10の打ち間違い含む)を自動追記した説が有力で、利用規約ページにまで同じタグが付いていた。77KBのメタタグ。実害はないが、脱力はする。
それでも「文書の作画」は本物の方向
粗を並べたが、方向自体は本物だと思っている。長文プロンプトの構造を保ったまま紙面に落とす能力は、既存のオープンモデルには明確にない芸当で、ECの商品画像・ポスター・スライドの下書きあたりは実務で回り始めるはずだ。Alibabaの本業がコマースであることを考えれば、狙いもそこだろう。
ただ、重みが来ない以上、ローカル勢にできるのは「触って限界を測る」ことまでだ。日本語圏の技術検証はGIGAZINEの1本きりで、Zenn/Qiitaはまだ空白。無料で触れる今のうちに、日本語レンダリングの壊れ方を体系的に記録しておくのは、誰かがやるべき仕事だと思う。言い出しっぺが測るべきですかね。あなたの用途では、文字は読めましたか。